どうも。ミニマリストごぼうです。
今回は、『電柱・電線の地中化』について。
電柱の地中化
空を見上げれば、電線にとまった鳥の群れ。
そんな風景は当たり前すぎて気にもならないですが、これは世界的に見ると、意外にもレアな風景です。
世界の先進国では、電線・電柱は地中に埋められ、地上には露出していないことも多い。
日本に来た外国人観光客が、空の風景を写真に収めているのは、電線があるからかもしれない。
そんな『電柱の地中化』について、歴史から現状、地中化のメリット・デメリットをお話しします。
景観が良くなる
これはロンドンとパリの街中の風景。電柱が無く、見通しの良い道路になっています。
これは人によって感じ方が変わりますが、電線が無いと景観が良くなると僕は思います。
電線が入り混じった風景も味があり、一種のアート的な要素を感じる反面、やはり無い方がすっきりして好きです。
観光の面においても、プラスの要素になるんではないでしょうか。
電柱が無い街の方が、地価が4〜7%上昇するという研究もある。
災害時や交通事故への懸念
阪神淡路大震災では、電柱の9割が倒れた。
倒れた電柱が道路を塞ぎ、消防車・救急車の通行を妨げ、被害が拡大した。
また、交通安全の面でも問題がある。
狭い交差点に立っている電柱は視界を妨げ、見通しの悪さにより事故の原因になる。
車両と電柱に挟まれて、重症化してしまう事故も多発している。追突事故では、電柱があると死亡率が「10倍」になる。
車のドライバーだけでなく、歩行者にもリスクを伴う建造物であると言える。
日本では毎年7万本増えている
電柱が地上に露出しているデメリットは多いものの、電柱は増え続けている。
日本では、電柱が毎年7万本のペースで増加している。
産業の発展に伴って電力の需要は増えるばかりで、それに伴い電柱の数本数も増加。
海外では、地中化が進んでいる
海外ではどうなのか。
海外の先進国では、電柱の地中化が進められている。
ロンドン・パリ・シンガポールでは、電柱が100%地中化されている。
ヨーロッパの人は電線が空にあるのを見たことがなく、日本に観光に来ると驚く。
電柱の歴史
そもそも、電柱はどのような経緯で作られてきたのか。少し歴史を振り返り。
日本に架空線(空中の電線)が登場したのは江戸時代〜明治時代。
電柱は増加を続け、その中で「地中化しよう」という意見もあったようです。
しかし、戦争によって焼け野原になってしまった。
戦後、復興のために「一時的」に電柱を立てまくった。
その後の高度経済成長によって電力の需要が高まり、そのままになってしまった、そんな経緯があります。
一方、ロンドンでは異なる。すでにガスが地中化されていたため、電気も地中化する流れに。
ニューヨークでは、裸の電線によって感電事故が多発、地中化に至った。
日本は『電線を覆う被覆技術の開発』に取り組んでしまった、という皮肉な話。
地中化に必要な費用
日本で主に採用されている『電線共同溝方式』では、1kmあたり5億3千万円。
これまでにの実績からkm当たり約3億5000万円が必要で、これに電気設備埋没等の費用が1億8000万円上乗せされる。
しかしロンドンやパリでは1kmあたり8千万円ほどで済むという。
ここまでの価格の違いは、共同溝の中にケーブルを通さず、地中に直接ケーブルを埋める方法を取っているから。日本ではこの方法での実績が無い。
地中化には、電力会社だけでなく、地主、自治体、ガス会社など様々な関係者がいるので、利権もあり難しいのも理解できる。
災害時に復旧しにくい?
電線を地中化すると、災害時に限らず、日々のメンテナンスが難しくなりそうなイメージがある。
空中に電線があれば、断線している箇所は目視でき、ひと目で分かる。
しかし、点検や補修を行う際には高所作業車の準備が必要。
地中(共同溝方式)であれば、蓋を開けて、中に入ればすぐ作業に移れる。
地中に配置される設備については防水性であり、浸水しても大丈夫。
しかし、津波による大規模な浸水被害等には弱い。
津波被害の場合、復旧に従来よりも時間がかかるかもしれないが、景観など日々のメリットを考えれば、補って余りあると感じる。
まとめ
メリット
・景観が良くなる
・災害・交通事故の被害を抑える
デメリット
・莫大な費用が掛かる
・津波には弱い
個人的には電柱の無い景観が好きで、小さな地域からでも少しずつ電柱の地中化を進めてほしいと感じる。
技術開発を促進するような仕組みを政府主導で作り、ネックとなっている地中化の費用問題を解決できる、そんな流れに期待したい。
以上です。